廃棄物処理には、基本のルールとなる「廃棄物処理法」という法律が存在します。廃棄物処理には様々なルールが存在し、違反した場合には、処理事業者だけでなく排出事業者にも罰則が及ぶ可能性があります。
本記事では、廃棄物処理法の概要や背景、対象者に定められているルール、違反した場合の罰則などを見ていきましょう。
廃棄物処理に関わる全ての人にとって重要な情報となりますので、ぜひ参考にしてください。
目次
1. 廃棄物処理のベースにある「廃棄物処理法」
廃棄物処理法は、私たちの生活環境と公衆衛生を守るための法律です。この法律は、廃棄物の排出から最終処分までの全プロセスを規定しており、適切な処理を行うための指針となっています。
ここでは、廃棄物処理法の概要や制定された背景について詳しく見ていきましょう。
1-1. 廃棄物処理法とは?
廃棄物処理法の正式名称は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」です。この法律では、一般廃棄物および産業廃棄物の処理に関するルールが定められています。
法律の主な目的は、廃棄物の排出抑制と適正な処理を通じて、私たちの生活環境と公衆衛生を守ることです。具体的には、廃棄物の分別、保管、収集、運搬、再生、処分などの各段階における適切な方法が規定されています。
また、処理や保管の方法だけでなく、委託する際のルールや、責任の所在、違反した場合の罰則など、幅広い内容が含まれています。そのため廃棄物処理法は、廃棄物を処理する事業者だけでなく、廃棄物を排出する事業者にとっても知っておくべき法律なのです。
1-2. 廃棄物処理法ができた背景
廃棄物処理法が制定された背景にあるのは、大量生産・大量消費型の社会への移行による急激なゴミの増加です。1970年頃の日本は高度経済成長期と呼ばれる時期であり、ライフスタイルが大きく変化しました。
しかしその成長に反して、適正に処理されない廃棄物が急増してしまうという問題が発生しました。その結果、環境汚染や公衆衛生上の問題が顕在化し、社会的な課題として認識され始めます。
その結果定められたのが、汚染者負担原則(Polluter-Pays Principle)に基づいた廃棄物処理法です。この法律により、廃棄物処理に関する責任の所在が明確化され、適切な処理を促進する枠組みが整備されました。
2. 廃棄物処理法で対象者に定められているルールとは?
廃棄物処理法の対象者は、廃棄物を処理する事業者だけでなく、排出する側の排出事業者も含まれます。
ここでは、それぞれに課せられている義務や責任について詳しく見ていきましょう。
◎排出事業者
廃棄物処理法では排出事業者に対して、排出した廃棄物を自ら処理するという責任を課しています。しかし多くの場合、自社で処理することは困難であるため、廃棄物処理業者への委託が認められています。ただし、委託を行っても、排出事業者の責任自体が完全になくなるわけではありません。
例えば、委託先の処理事業者が不法投棄などの違法行為を行った場合、排出事業者も責任を問われる可能性があります。そのため排出事業者は、認可を受けた信頼できる廃棄物処理業者を慎重に選ぶことが必要です。
また、処理業者へ委託した後も廃棄物の処理状況を追跡する必要があります。具体的には、マニフェスト(産業廃棄物管理票)を交付し、最終処分が完了するまで一貫して管理します。
このように廃棄物処理法は排出事業者に対して、廃棄物の発生から最終処分までの責任を持つことを求めています。
◎廃棄物処理業者
廃棄物処理法では廃棄物処理業者に対し、廃棄物の収集運搬・処理を行う際、自治体から事前に許可を取得することを義務付けています。処理を行う際は、産業廃棄物処理基準に従って適切に行わなければなりません。ただし、金属くず・古紙類などの有価物や再生資源は廃棄物処理法の対象外です。
廃棄物処理業者には、排出事業者から交付されたマニフェストに、必要な情報を正確に記録する義務もあります。マニフェストは、排出事業者だけでなく処理事業者側も5年間保管しなくてはなりません。
これにより、廃棄物が適正に処理されたかを双方で確認できます。
3. 廃棄物処理法違反となる主な例と罰則について
廃棄物処理法で定められたルールに違反すると、厳しい罰則が科される可能性があります。罰則が科される対象は、排出事業者と廃棄物処理業者の両方であるケースと、一方だけのケースの2パターンです。
ここでは、代表的な違反事例とそれに対する罰則について解説します。
廃棄物処理法違反の中でよくある事例は、不法投棄や不法焼却、無許可営業です。例えば、処理許可を得ていない廃棄物処理業者によって無断で行われる廃棄物収集・運搬や、適切な処理をせずに行われる森林への不法投棄が挙げられます。この場合、5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金が科される可能性があります。
注意すべきは、このような廃棄物処理業者に委託した排出事業者側も罰せられるケースがあることです。意図的でなくても法律違反の対象となる可能性があるため、委託先の選定には細心の注意を払いましょう。
その他、排出事業者・廃棄物処理業者の両者に関連する「マニフェスト」の違反については下記の記事でご紹介しています。
産業廃棄物のマニフェストに”違反”するとどうなる?事例や対策を解説>>
4. 廃棄物処理法を違反しないために気をつけること
廃棄物処理法の違反を避けるために、排出事業者が注意すべきポイントがいくつかあります。
ここでは、法律を守るために気を付けることを見ていきましょう。
守るべきルールを把握する
廃棄物処理法を遵守するためには、まず守るべきルールを正確に把握することが重要です。この法律は1970年に制定されて以来、社会の変化に合わせて度重なる改正が行われてきました。今後も、さらなるアップデートが行われる可能性があります。
そのため、常に最新の情報を追い、ルールの変更を把握できるようにしましょう。また、廃棄物が最終処分されるまで排出事業者に責任があるという点を十分に理解し、当事者意識を持って廃棄物処理に関わることが大切です。
信頼できる委託先を選ぶ
委託した廃棄物処理業者が法律違反を犯した場合、その内容によっては排出事業者にも責任が及ぶ可能性があります。そのため、信頼できる委託先の見極めが非常に重要です。
委託先を選ぶ際は、過去に行政指導や処分を受けた前歴がないかを確認してみてください。
また、優良産廃業者の認定を受けているかどうかも、有効な判断基準となります。優良産廃業者の認定を受けるには、通常よりも厳しい審査基準をクリアする必要があるからです。そのため、この認定を受けている事業者は、安心して廃棄物処理を任せられる信頼性の高い事業者だといえます。
私たち環境のミカタは、静岡県の産業廃棄物処分業許可に加え、静岡県を含む17の都道府県および市で産業廃棄物収集運搬業許可を取得している会社です。さらに、そのうち13箇所の自治体で優良認定を受けており、高い信頼性と実績を持つ廃棄物処理業者として認められています。
5. 廃棄物処理法についてのまとめ
本記事では、廃棄物処理の基本ルールを定めている廃棄物処理法について詳しく解説しました。この法律は、私たちの生活環境と公衆衛生を守るために重要な役割を果たしています。
廃棄物処理法の特徴は、自らが排出した廃棄物に対する責任が最終処分まで続くという点です。そのため、排出事業者は安心して任せられる委託先を慎重に選ぶ必要があります。
環境のミカタは、複数の自治体で優良産廃業者の認定を受けており、厳しい審査基準をクリアするための実績と健全性を保持しています。産業廃棄物処理に関するご相談は、ぜひ環境のミカタまでお問い合わせください。