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コラム
2022.12.20

産業廃棄物のマニフェストに”違反”するとどうなる?事例や対策を解説

リスクのイメージ

産業廃棄物を適切に処理するために制定された「産業廃棄物のマニフェスト」。

産廃マニフェストには運用の流れや記載項目、保存期間が定められており、違反した場合は刑事処分の対象となります。 過失による違反も罰則の対象となるため、十分注意して運用することが必要です。

今回は、産廃マニフェストに違反した場合の罰則や、違反を防止するための注意点を解説します。

1.産業廃棄物のマニフェストの違反にはどのようなものがある?

マニフェストの不交付や虚偽記載、報告義務違反など、マニフェストに関するルールに違反した排出事業者(中間処理業者を含む)は罰則の対象になります。廃棄物処理法第25条第5号に基づき、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられる可能性があります。

委託基準違反

委託基準とは、排出事業者が産廃処理事業者に処理を委託する際に遵守すべき基準を定めたものです。排出事業者に科せられる可能性がある罰則で最も重く、基準に違反すると、委託した側が廃棄物処理法違反となります。

不法投棄などの不適切な処理が行われた場合は、都道府県から廃棄物の除去などの命令を受けることがあり、従わない場合は5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはこの併科に処せられます(廃棄物処理法第25条第5号)。

産廃マニフェストの不交付や虚偽記載

マニフェスト(産業廃棄物管理票)は複写式で7枚綴りになっており、産業廃棄物の種類と行き先ごとに作成が必要です。産業廃棄物の処理を業者に委託する際には、必ず産廃マニフェストを交付しなければなりません。

産廃マニフェストの不交付とは、産廃マニフェストを産廃処理業者に渡さないことを意味します。

マニフェストは、産業廃棄物を引き渡す際に交付が義務付けられており、不交付の不備があった場合は、罰則の対象となる可能性があります。

また、産廃マニフェストに実際の廃棄内容と異なる内容を記載することを「虚偽記載」といい、不交付と同様にマニフェスト違反です。

記入するべき項目が白紙になっていたり、明らかに虚偽の内容が記載されていたりするなど、意図を持って虚偽記載を行ったと考えられる場合に、「虚偽記載」と判断されることもあります。

産廃マニフェストの報告義務違反

廃棄物処理法第12条の3第7項により、排出事業者(中間処理業者を含む)は、産廃マニフェストの交付状況を報告することが義務付けられています。

報告は年に一度で、前年度の4月1日〜3月31日までの期間の報告を、毎年6月30日までに実施。報告する内容は、産業廃棄物の種類や排出量、マニフェストの交付枚数などです。期限内に提出がなかった場合は、罰則を受ける可能性があります。

なお、電子マニフェストを利用している場合は報告不要となります。

産廃マニフェストの保存義務違反

産廃マニフェストは、5年間の保存が義務付けられています。マニフェストの交付・回付・送付を行ったら、それぞれの伝票の送付日もしくは送付を受けた日から5年間保存します。

万が一、マニフェストを紛失した場合であっても、再発行は認められていません。ただし、紛失前の処理工程を担当した業者が保管しているマニフェストをコピーすれば代用可能です。

2.マニフェストの勧告・指導状況と不適切事例

作業着の男性

マニフェストの違反に対する勧告・指導状況と、不適切事例を見ていきましょう。

マニフェストの勧告・指導状況

マニフェストの勧告・指導状況

出典:環境省|廃棄物処理政策に関するこれまでの施策の施行状況

マニフェストの取り扱いについて行政の注意・指導を受けることは、深刻な事態といえます。

上表の「報告件数」は、問題があると考えられるマニフェストの取り扱いについて、排出業者から報告があった件数を表しており、平成25年度から急増しています。行政だけでなく、排出業者も処分業者に対して厳しい目を向けていることがわかるでしょう。

産廃マニフェストの不適切事例

ここでは、産廃マニフェストの不適切事例を紹介します。

再委託基準違反・マニフェストの虚偽記載

排出事業者から廃プラスチック類の処理を委託された処分業者が、自ら処理せずに無許可の処理業者に再委託。そして、自らが産業廃棄物を処理したように見せかけるため、産廃マニフェストに虚偽の記載をしたうえで排出事業者に送付しました。

これは、無許可業者への再委託基準違反、マニフェストの虚偽の記載に相当する行為です。

マニフェスト虚偽報告(および食品衛生法違反、刑法違反)

食品製造業者から処分委託を受けた処理業者が、食品廃棄物を食品として再度流通(不正転売)。 処理業者は、電子マニフェスト上の記録を偽っており、不正転売した食品廃棄物を処理したと虚偽報告を行っていました。

マニフェストの虚偽報告、不正転売と、当然に行政処分の対象となる事案で、発生当時は大きなニュースにもなりました。

こうした処理業者側の不正であっても、排出業者側も委託方法や管理の責任を問われ、大きなリスクを負ってしまうことには注意が必要です。

3.違反を防止するために注意したいこと

注意点のイメージ

産廃マニフェストの違反を防止するには、管理の基本を守ることが何よりも重要です。たとえ故意ではなくても、違反があると罰則の対象になる可能性があるので十分注意しましょう。

記載義務事項を守る

産廃マニフェストには、それぞれ「誰が」「何を記載すべきか」が明確に定められています。

日付や排出事業者、産業廃棄物の情報などは、排出業者が必ず記載しなければなりません。記載事項が多く、細かい部分を見落としがちですが、排出業者は事前に記載内容をよく確認する必要があります。

書き間違いや記載漏れに注意する

産廃マニフェストに記載された項目が、産業廃棄物の実際の処理状況と異なる場合は「虚偽記載」とみなされ、罰則の対象になる可能性があります。

書き間違いや記載漏れといったミスが原因でも罰則を受けることがあるため、処理は慎重に行いましょう。

伝票をしっかり保存する

紙のマニフェストは、産業廃棄物を処理した分だけ増えていくため、管理が煩雑になります。電子マニフェストへ切り替えて、管理の手間を減らすことも、違反を防止するための手段といえます。

4.産業廃棄物のことは環境のミカタにお任せください!

産廃マニフェストの違反について詳しく解説しました。

マニフェストは法によって制定されており、廃棄物処理の運用には大きな責任が伴うもの。過失や不備による違反が起こらないように、関連企業に対しては、管理体制の構築と従業員への定期的な指導が求められます。

また、環境のミカタでは、マニフェストを適切かつ効率的に運用するために、電子マニフェストの導入を推奨しています。

  • ・作業の間違いやミスを防止できる

  • ・紛失の心配なくマニフェストを保存できる

  • ・廃棄物の処理状況の管理の手間が減る(情報にアクセスし、リアルタイムで把握できる)

電子マニフェストにはこうした利点があり、2021年時点での普及率は72%です。切り替えに当たっての疑問などがある方は、弊社まで相談いただければと思います。

マニフェストに関することに限らず、産業廃棄物の処理でお困りのことがあれば、環境のミカタにぜひご相談ください。

廃棄物の収集・運搬・処理・リサイクルのプロである当社が、お客様のお悩みに寄り添います。

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