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コラム
2025.05.30

解体時に出る産業廃棄物|種類や処理のポイントを解説

 

産業廃棄物の適切な処理は、法令順守はもちろん、環境保護の観点からも欠かせない取り組みです。正しい処理方法を理解したうえで、適切に対応することが求められます。

本記事では、解体工事から排出される産業廃棄物の種類や、適正処理のポイントについて解説します。解体工事で出たごみの処理方法に悩んでいる解体業者の方は、ぜひ参考にしてください。

解体に伴う産業廃棄物の運搬や処理を依頼したい静岡県の事業者様は、環境のミカタまでご相談ください。法令に準拠した適正処理と柔軟な対応で、安心してお任せいただけます。

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解体で生じる産業廃棄物とは

 

解体で生じる産業廃棄物は、安定型産業廃棄物・管理型産業廃棄物・特別管理産業廃棄物の3種類に大別されます。それぞれの特徴と、一般廃棄物との違いについて詳しく解説します。

解体で生じる産業廃棄物の種類

解体工事で生じる産業廃棄物は主に以下の3種類に分けられます。

【安定型産業廃棄物】

安定型産業廃棄物とは、性質が安定しており、雨にぬれたりしても性状が変化しにくい産業廃棄物を指します。安定型最終処分場で埋め立て処理が可能です。

<廃棄物の具体例>

  • ・駐車場やカーポートなどの解体により生じるがれき類

  • ・洗面台、キッチン、浴槽などから生じる廃プラスチック

  • ・建物の骨組みや窓のアルミサッシなどから生じる金属くず

  • ・窓ガラスから生じるガラスくず

【管理型産業廃棄物】

管理型産業廃棄物は、性質が安定せず、雨に濡れるなどにより性状が不安定になる可能性が高い廃棄物のことです。染み出た汚水などにより環境への影響が懸念されるため、管理型最終処分場で処理されます。

<廃棄物の具体例>

  • ・家の柱や梁などから生じる木くず

  • ・壁紙や襖などから生じる紙くず

  • ・カーテンやカーペットなどから生じる繊維くず

  • ・内装や天井の石膏ボードの撤去により生じる石膏

【特別管理産業廃棄物】

特別管理産業廃棄物とは、産業廃棄物の中でも、特に爆発性や感染性、毒性などといった特性をもち、人々の生活や環境に危険を及ぼす可能性がある廃棄物のことです。具体的には、廃油や廃酸、廃アルカリなどがこれに該当します。

別管理産業廃棄物に該当する場合には、安定型・管理型産業廃棄物よりもさらに厳格な管理・処理が必要となるため、混合して処分しないよう、厳重な注意が必要です。

特別管理産業廃棄物とは?分類や処理基準・手順まで詳しく紹介>>

産業廃棄物の種類とは?区分と具体例も合わせて紹介>>

一般廃棄物との違い

一般廃棄物は産業廃棄物以外の廃棄物のことを指し、以下の3つに分けられます。

名称 概要
事業系一般廃棄物 事業活動によって生じる廃棄物のうち、産業廃棄物以外のもの オフィスから出る紙くず(コピー用紙や書類など) 飲食店から出る生ごみ 商業施設の従業員休憩室で出た弁当の容器やペットボトル
家庭系一般廃棄物 一般家庭から生じる廃棄物 台所から出る生ごみ 家庭で使ったティッシュや紙くず
特別管理一般廃棄物 爆発や感染により健康・生活環境に被害を与える恐れのある廃棄物 廃棄物焼却施設から生じたばいじん(ダイオキシン含有量が3ng/g以上) 感染性の医療系ごみ ポリ塩化ビニルを含むエアコンの部品
 

このうち、解体工事の際に注意が必要なのは「事業系一般廃棄物」と「特別管理一般廃棄物」です。産業廃棄物とは処理・管理方法が異なるため、分別を徹底しましょう。

解体で生じる産業廃棄物の処理方法

解体工事から排出された産業廃棄物は、法令に則った適切な方法で処理しなければなりません。ここでは、排出事業者として自ら処理する場合と、専門業者へ委託する場合についてそれぞれ解説します。

排出事業者として自らが処理する

先に述べたように、産業廃棄物とは事業活動に伴い排出された廃棄物のうち、法令で定められた20種類の廃棄物のことです。施主から解体工事を依頼された段階の建物は、廃棄物ではなく、モノに価値が存在している「有価物」として扱われます。

その有価物である建物を、解体という事業活動を行い撤去することで、該当の建物は廃棄物、つまり産業廃棄物となります。したがって、解体工事で排出される産業廃棄物の責任は、施主ではなく、工事を請け負った解体業者にあるのです。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」では、排出事業者に対し、排出した廃棄物は自ら処理することが義務付けられています。そのため、不法投棄はもってのほかで、廃棄物処理法および建設リサイクル法等の法令に則った適切な方法で処分しなければなりません。

 

廃棄物処理法とは?対象者に定められているルールや罰則について解説>>

専門業者へ依頼する

産業廃棄物の運搬には「産業廃棄物収集運搬業」の許可が必須です。さらに、処理を行うためには「産業廃棄物処分業」の許可も必要となります。

産業廃棄物収集運搬とは?役割や必要な許可について解説>>

いずれも取得のためには専用設備や技術を保有のうえ、都道府県・政令都市からの認可を得なければなりません。そのため、産業廃棄物処理法では、排出事業者の責任のもと、信頼できる専門処理業者に委託することが認められています。

なお、委託後も処理の流れを記録・追跡するために収集運搬業者・処分業者それぞれに産業廃棄物管理票(マニフェスト)を交付し、処理が完了するまでの状況把握が必要です。仮に違法な業者へ依頼し、不法投棄などが生じた場合には、排出事業者である解体業者にも責任が課せられます。解体工事で発生する廃棄物は、その性質上、地域や環境に与える影響も大きいため、信頼できる処理業者を選び、法律を守って適切に処理を進めましょう。

解体で生じる産業廃棄物の処理の注意点

解体工事で排出される産業廃棄物を適切に処理するためには、残置物の確認や運搬・処分まで保管に関する注意点があります。

事前に残置物の有無を確認する

残置物とは、建物の所有者や利用者が建物内に残した家具、家電、雑品などの廃棄物のことです。残置物の処理責任はあくまで所有者本人にあるため、解体業者は事前に残置物の有無を確認し、必要があれば市区町村のルールに沿った処理を所有者に促さなければなりません。

特に、解体対象が一般家庭である場合、残置物は一般廃棄物となるため注意しましょう。解体業者を含む事業者が一般廃棄物を処理する場合、「一般廃棄物処分業許可」を取得する必要があります。解体事業者が取得している「解体工事業許可」や産廃処理事業者が保有する「産業廃棄物処理業許可」では処理が認められません。

ただし、オフィスや工場などの事業所を解体する場合には残置物が一般廃棄物なのか、産業廃棄物なのか判断が難しい場合があります。その場合には、排出者である所有者に助言・確認のうえ、産業廃棄物処理と一般廃棄物処理業の両方の許可を得ている処理業者に処理を依頼するのがおすすめです。

なお、環境のミカタは一般廃棄物収集運搬業許可も取得しているため、一般廃棄物含めまとめて収集運搬が可能です。 

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運搬・処分までは周辺環境に配慮して保管する

解体工事で発生した産業廃棄物は、運搬や処理に引き渡すまでの間、現場内や一時保管場所での保管が必要となる場合があります。この際にも、廃棄物処理法に基づいた厳格なルールに従うことが求められます。

主なルールは以下のとおりです。

  • ・産業廃棄物の保管場所であることを表示した掲示板を設ける

  • ・シート養生や囲いの設置、排水対策などで雨風や地面への影響を防ぐ

  • ・密閉・換気・保管期間の管理により悪臭・害虫の発生を防止する

  • ・保管スペースは高さが50%勾配を超えないよう、積み方に配慮する

  • ・産業廃棄物が生じた場所以外の場所で保管する際、300㎡以上の面積を占める場合には事前に届け出る

参考:産業廃棄物・特別管理産業廃棄物の保管

解体で生じる産業廃棄物の処理業者を選ぶ際のポイント

解体工事で生じた産業廃棄物の処理を業者に委託する際、信頼できる業者を見極めるポイントは以下の通りです。

  • ・必要な許可証を保有している

  • ・優良産廃処理業者に認定されている

  • ・サポート体制が整っている

  • ・積極的に再資源化に取り組んでいる

ここでは、それぞれのポイントを解説します。

必要な許可証を保有している

廃棄物処理業者が中間処理や最終処分などを行うには、自治体からの許可が必要です。無許可業者に委託した場合、排出事業者自身が不法投棄などの法的責任を問われるリスクがあり、解体事業者としての信頼にも関わります。そのため、委託先を決める際は、必ず自治体から許可を受けている業者かを確認しましょう。

また、委託時には書面による契約書の締結も義務付けられています。契約締結の前には、処理の範囲・責任分界点・処理料金などの条件が明記されていることを確認し、不明点を解決したうえで依頼へ進めましょう。

優良産廃処理業者に認定されている

2010年に産廃物処理法改正が行われ、優良産廃処理業者認定制度が始まりました。優良産廃処理業者認定制度とは、通常よりも厳しい基準を満たす事業者を、都道府県が認定する制度のことです。

優良産廃処理業者に認定されるためには、以下の基準をすべてクリアする必要があります。

  • ・法令遵守の遵守

  • ・事業内容の透明性

  • ・環境への配慮

  • ・電子マニフェストへの対応

  • ・健全な財務体質

優良認定を受けている業者は、一定の信頼性と実績が担保されており、安心して依頼できるといえるでしょう。

環境のミカタは、複数の自治体から「優良認定業者」の認定を受けており、解体時の産業廃棄物収集運搬も安心してお任せいただけます。

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サポート体制が整っている

廃棄物の処理だけでなく、現場の手間や作業負担に配慮したサポート体制があるかも、業者選定のポイントのひとつです。例えば、一部の処理業者では、廃棄物用のコンテナボックスを貸し出すサービスを提供しています。

コンテナがあれば保管場所を自前で用意する必要がなく、飛散防止や安全管理もしやすくなる点が大きなメリットです。産業廃棄物の運搬・収集を待つ一時保管の間にも安心して保管でき、解体業者の負担軽減につながります

ただし、対応しているコンテナのサイズや形状、回収頻度などは業者ごとに異なります。利用を検討する場合は、あらかじめ詳細を確認しておくとよいでしょう。

積極的に再資源化に取り組んでいる

業者選定の際には、積極的に再資源化に取り組んでいるかを確認することも大切です。近年では、発生抑制(リデュース)、再使用(リユース)、再利用(リサイクル)の3Rに加え、経済活動の中で資源を循環させる「循環型社会」の考え方が広く注目されています。

さらに、2025年には脱炭素化と再生資源の量・質の確保を目的に「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律」が一部施行されました。その際、産業廃棄物処理事業者においても再資源化の取り組み、およびその実施状況の開示が義務付けられています。

法令を遵守し、積極的な再資源化に取り組んでいる処理事業者を選ぶことで、産業廃棄物の処理を通じて、排出事業者自身も環境保護に貢献できます。これは社会的責任の遂行につながり、企業価値向上にも寄与する取り組みといえるでしょう。

まとめ

解体工事から排出される産業廃棄物は、その種類や性質に応じた適切な処理が求められます。排出事業者である解体業者は、法令を順守し、信頼できる処理業者を選定することが肝心です。適切な処理手順を踏んでいる業者に委託することで環境保護にもつながり、自社の企業価値向上も期待できるでしょう。

環境のミカタでは、2026年稼働開始をめざし、新設工場「EP0(ゼロ)」を建設中です。EP0には中部圏最大級の破砕高度選別施設と、国内最大級の製鋼副資材製造施設が導入予定となっています。混合廃棄物だけでなく、これまで処理困難物として扱われていた高塩素プラスチックやゴム製品などの廃棄物を原料に、廃棄物由来の製鋼副資材を製造する計画です。

解体に伴い排出される産業廃棄物についても、より環境に配慮した処理が可能となり、産業廃棄物の処理を通じて持続可能な社会の実現に貢献します。静岡県の解体業者で産業廃棄物処理にお困りであれば、ぜひご相談ください。

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