事業ゴミを家庭ゴミの集積所に出すと罰せられる、と聞いたことはありませんか?たとえゴミの量が少なかったとしても、ほとんどの自治体では事業ゴミを一般家庭用のゴミ集積所に出してはいけない決まりになっています。
事業主はきちんと事業ゴミの処理方法を理解し、罰則に触れないように行動しなければなりません。この記事では、事業者がゴミを適正に処分しなかった場合に科せられる罰則や正しい処分方法を解説していきます。
目次
事業ゴミを家庭ゴミとして出すとどんな罰則がある?
事業活動から出たゴミは、家庭ゴミと処理方法が異なります。ルールに従って適切に処理しなければ事象者は罰則を受けることがありますが、その罰則とはどのようなものなのでしょうか?
不法投棄としてみなされる
そもそも事業ゴミは、家庭ゴミとは異なります。家庭ゴミは一般の家庭から出るゴミ全般のことを指し、処理の責任は市区町村にあります。分別方法や捨て方は各自治体によって異なりますが、多くの場合は住民税を財源にしています。
一方、事業ゴミとは事業活動によって出たゴミのことを指します。この場合の事業活動とは営利・非営利を問わないため、病院や公共施設、店舗併用住宅の店舗部分、アパート・マンションの共用部分の管理なども事業活動に該当します。
事業ゴミの処理は、事業者がその責任を負うものとして「廃棄物の処理及び清掃に関する法律第3条」により以下のように定められています。
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事業者は、その事業活動に伴つて生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない
もし、事業ゴミを家庭ゴミの集積所などに捨てた場合、不法投棄にあたります。このような違反行為に対して「廃棄物の処理及び清掃に関する法律第25条」により、5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金(※1)が定められています。
※1:併科される場合もあり
また法人が違反に関っている場合、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律第32条」によると、違反行為者のほか法人に対して3億円以下の罰金が科されることがあります。
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第三十二条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
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(1)第二十五条第一項第一号から第四号まで、第十二号、第十四号若しくは第十五号又は第二項 三億円以下の罰金刑
罰則が科されている理由
産業廃棄物の不適正処理に罰則が科されるようになったのは、高度経済成長期にゴミの量が急増、多様化したことが背景にあります。生産活動の変化によって、土に還らないプラスチックや合成樹脂くず、廃油、建設廃材などが大量に出るようになりました。
当時の事業者は、これらのゴミを適切に処理しないまま廃棄していたため、公衆衛生上の問題や公害問題を引き起こすことに。そのため、住民の生活環境を保護する目的で、排出事業者に産業廃棄物の処理責任を科すことが法律で定められました。
産業廃棄物を含む事業ゴミは、家庭ゴミとは処分方法や排出者の責任も異なります。いずれも適切に処理できるよう、事業ゴミと家庭ゴミの違いも確認しておきましょう。
事業ごみの処分で罰則を受けないために確認しておきたいこと
事業ゴミには「事業系一般廃棄物」と「産業廃棄物」の2つの区分があり、それぞれ適切な処理をしなければなりません。事業ゴミはどのように処分しなければならないのか、解説していきます。
事業ごみはどのように処分したらいい?
事業系一般廃棄物とは、産業廃棄物に該当しないゴミのことで、可燃ゴミ・粗大ゴミといったものが該当します。事業系一般廃棄物を処理するには、自治体の処理施設へ運び処理を依頼するか、専門業者に回収と処理を依頼する方法があります。
産業廃棄物は廃油や廃プラスチック、金属くずなど19種類が指定されています。事業の業種によって、産業廃棄物に該当するかどうか変わるものもあるので、必ずルールを確認しておきましょう。
産業廃棄物の処分は自治体に依頼できないため、都道府県から「産業廃棄物収集運搬業許可」を受けている業者へ回収と処理の委託をすることになります。
事業ゴミの分類や捨て方については、こちらの記事でも詳しく解説しているので、合わせてチェックしてみてください。
少量であれば事業系一般廃棄物の回収を依頼できる市町村もある
基本的に事業で発生したゴミは、事業者が責任をもって処分しなければならないとお伝えしました。ただし、一部の自治体では、事業系一般廃棄物が少量である場合に限り、家庭ゴミと同じ集積所に出せる少量排出事業者向けの制度があります。
この制度を利用するためには、市区町村へ事前登録が必要です。市区町村の指定ゴミ袋を購入し、家庭ゴミと同じ集積所に捨てることで回収してもらえる制度になります。ゴミの量が少ない場合、このような制度がないか市区町村のホームページで確認してみるとよいでしょう。
また、少量のため業者委託するほどではなく、少量排出事業者向けの制度もない場合は、処理施設に自ら持ち込む方法もあります。事業ゴミの持ち込みを考えている方は、こちらの記事を参考にしてください。
事業ゴミの持ち込みはできるの?個人事業主の対応についても解説>>
まとめ
事業活動から出た廃棄物は、事業主が責任を負わなくてはなりません。たとえ知らなかったとしても、廃棄物は適切な処理がなされなければ、事業主が罰を受けることがあります。法に触れることがないよう、廃棄物を処理するようにしましょう。
環境のミカタ株式会社では、事業系一般廃棄物、産業廃棄物、どちらの許可も取得しております。定期回収とは別のスポット回収や事業で発生した粗大ゴミの処分といった対応も可能です。事業におけるゴミ処理のお悩みを一緒に解決しましょう。