私たちの生活の中で、プラスチックは食品包装、容器、製品パーツなど、多岐にわたって使用されています。日常生活や産業活動から排出される、使い終わったプラスチック製品や不要になったプラスチック製品のことを「廃プラスチック」といいます。
廃プラスチックを処分に出す際は、排出元や排出された経緯によって処分方法が異なるため、必ず確認してから処理しましょう。また、処理業者への依頼も法律に関わるため注意が必要です。
本記事では、廃プラスチックの概要から処理方法、排出事業者が処分する際の注意点まで詳しく説明します。
目次
プラスチックごみの分け方とは?
廃プラスチックは、排出される場所や状況によって「一般廃棄物」と「産業廃棄物」に分類されます。一般廃棄物の廃プラスチックは、主に家庭から排出されるプラスチックごみのことを指します。
一方で、産業廃棄物に分類する廃プラスチックは、事業活動によって生じたかどうかで判断されます。産業廃棄物の場合、廃棄物処理法で規定された20種類の廃棄物のうち、「廃プラスチック類」に該当します。詳しくは次の章で見てみましょう。
廃プラスチックの違いと具体例
ここでは、一般廃棄物と産業廃棄物に分類される廃プラスチックの違いと具体例を紹介します。
一般家庭から出るプラスチックごみは、通常一般廃棄物として処理されます。家庭からのプラスチックごみの約6割は容器包装が占めており、使用済みの容器・包装を捨てずにリサイクルしようという意識を高めるため、1995年に「容器包装リサイクル法」が制定されました。この法律はプラスチック以外にも、ガラスびんやペットボトル、紙の容器包装なども対象です。
一方で、飲食店や事業所から発生した廃プラスチックは、事業活動に伴っているため産業廃棄物に分類されます。ただし、従業員が食べたお弁当の容器など直接事業に関係しないものは、一般廃棄物として扱う場合があります。どちらに該当するか判断が難しい場合は、各自治体のホームページなどで確認しましょう。
産業廃棄物の廃プラスチックは、一般廃棄物として処理することはできません。具体例としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、包装フィルム、PPバンド、スチロールなどがあり、これらは製造業や流通業で大量に使用されるため、適切な処理が必要となります。
廃プラスチックの処理方法について
ここでは、産業廃棄物に分類する廃プラスチックの処理方法について説明します。資源化が困難なものは、焼却・埋め立てなどで処分されますが、リサイクル可能なものは下記のリサイクル方法のいずれかで処理されます。
廃プラスチックのリサイクル方法は3つ
廃プラスチックのリサイクル方法は、以下の3つです。
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◎サーマルリサイクル:廃プラスチックを燃やした時に発生する熱をエネルギーとして回収し活用する方法
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◎マテリアルリサイクル:廃プラスチックを新たなプラスチック製品として再資源化する方法
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◎ケミカルリサイクル:廃プラスチックを化学的に分子レベルまで分解し、原料や燃料として再利用する方法
リサイクル方法にはそれぞれメリット・デメリットがあり、リサイクルできる廃棄物も異なります。そのため原料によっては、マテリアルリサイクルでは処理できないがサーマルリサイクルでは処理可能というような場合もあるのです。
3つの処分方法についてより詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
廃プラスチックのリサイクル方法は?再利用すると何になる?|環境のミカタ >>
有効利用率が最も多いのはサーマルリサイクル
日本における廃プラスチックのリサイクル方法の中で、最も有効利用率が高いのはサーマルリサイクルです。次いでマテリアルリサイクル、ケミカルリサイクルの順になっています。
サーマルリサイクルで再資源化できるものとして、需要が高まっているのがRPF(Refuse Paper & Plastic Fuel)です。RPFは、マテリアルリサイクルが困難な廃プラスチック類や古紙といった廃棄物を原料とした固形燃料です。石炭やコークスなどの化石燃料の代替として、製紙会社や鉄鋼会社などの業界で広く利用されています。
環境のミカタでは、RPFの需要の高まりに応えるために新たに工場を増設し、製造に注力しています。
2024年5月に増設したアースプロテクションセンター第3工場の機能性の高さにより、これまで当社では処理できなかった原料の一部「ブルーシート」と「紙管付きフィルム」がRPFの製造原料として使用できるようになりました。
その他にも、対応可能な廃棄物は増えています。RPFにリサイクルすることができる廃棄物かどうか、判断に迷うものがありましたら、いつでもお気軽にお問い合わせください。
RPFの製造には対応できる廃棄物・対応できない廃棄物があり、適正な廃棄物をリサイクルすることで高品質なRPFになるため、廃プラスチックの分別が重要です。正しい分別を行うことは、再資源化の質を高めるだけでなく、さらなる環境保護・SDGsの推進に寄与します。
RPFの需要が高まっている理由やリサイクルできる廃棄物について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
【写真で解説】RPFにできる原料とは?RPF新施設もご紹介!|環境のミカタ >>
廃プラスチックを処分する際の注意点
ここからは、廃プラスチックを処分する際の注意点について説明していきます。主に、以下の3つのことに注意しましょう。
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・適正な分別を行う
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・不正な処理方法を行う業者を避ける
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・処理費用を考慮して依頼する
適正な分別を行う
廃プラスチックを処理する際は、生ごみや紙類などが混ざらないよう、きちんと分別しましょう。リサイクル時に原料以外の廃棄物が混ざっていると、リサイクル処理ができなかったり、品質が落ちてしまったりします。
また、発火の恐れがあるものが混入していると、処理過程で事故になりかねません。できる限り排出事業者側で処分する前に分別しておきましょう。
分別についてお困りのことがありましたら、いつでもご相談ください。
不正な処理方法を行う業者を避ける
廃プラスチックの処理を依頼する際、不正な処理を行う業者は絶対に避けなければなりません。正しい処理方法を行わず、不法投棄や不正な処理を行う業者に依頼すると、依頼した企業が罪に問われる可能性があるためです。
廃プラスチックの処理は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」第5章第25条により罰則が定められています。具体的には、5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方が科される可能性があるのです。
極端に安い金額で処理を引き受けていたり、処理状況の公開がされていなかったりする場合は、適切な処理を行っていない可能性があるかもしれません。このような業者は避けるようにしましょう。
一方で、優良産廃業者の認定を受けている事業者であれば、安心して廃棄物処理を任せられます。私たち環境のミカタは、13箇所の自治体で優良認定を受けており、高い信頼性と実績を持つ廃棄物処理業者として認められています。
処理費用を考慮し依頼する
廃プラスチックの処理費用は業者によって異なるため、自社の予算に見合っているか確認しましょう。近年、廃プラスチックの処理は、中間処理後の委託先へのコストが増加傾向にあるため、排出事業者が負担する処理費用も高くなりつつあります。
そのため、複数の処理業者に見積もりを依頼し、費用を比較するとよいでしょう。ただし、金額の安さだけで選ぶのはリスクを伴うため、処理実績の有無や優良産廃業者の認定を受けているかなどの確認をしてください。
RPFにリサイクルできる廃プラスチックであれば、私たち環境のミカタにてリサイクル処理が行えます。中間処理後の委託が発生せず安定したコストで処理できるため、処理業者をお探しの際はぜひご検討ください。
廃プラスチックについてのまとめ
本記事では、廃プラスチックの概要や処理方法、処分する際の注意点を解説しました。廃プラスチックは、3つのリサイクル方法により様々な資源として生まれ変わることができるため、貴重な原料でもあります。排出事業者側での正しい分別・処理が大切です。
環境のミカタでは、産業廃棄物の収集・運搬・処分・リサイクルを行っております。当社は食品廃棄物からのバイオマス発電によるFIT電力や非化石証書の購入により、工場で使用する高圧電力を実質CO2フリーで供給しています。これにより、CO2フリーでのRPF製造を実現しております。
この取り組みは、サプライチェーン排出量Scope3カテゴリー5(事業者の活動に関連する他社のCO2排出)に寄与することができます。リサイクルについてのご相談、処理業者を検討する際のご質問など、いつでもお気軽にご連絡ください。