前回、前々回と、プラスチック新法の概要や、その中で企業が求められることについて解説してきました。 今回は、新プラ法関連の連載の一区切りとして、各社の具体的な取り組み事例をご紹介します。
消費者の立場として日頃よく目にするものから、上手くプラスチックを回収・再利用するための仕組み、代替素材の普及推進まで、3つの取り組みをご紹介しますのでぜひ最後まで読んでみてください。
目次
1.スターバックスコーヒージャパン
人気コーヒーチェーンのスターバックスコーヒージャパンは、新プラ法が公布された段階からさまざまな対応策を打ち出してきたことで注目されている企業です。2022年4月の法律施行から、以下のような取り組みを行っています。
プラスチック製の蓋の廃止
コーヒーの蓋部分の使い捨てプラスチック削減のために、アイスビバレッジ(冷たい飲み物)の蓋なしでの提供を開始。 ※お持ち帰り用、ホット飲料、子ども用飲料は例外
店内用グラスでの提供
使い捨てカップの削減を目的とし、アイスビバレッジは店内用の樹脂製グラスでの提供を推奨。
カトラリーの変更
ステンレス製カトラリー、100%植物由来素材のカトラリーの提供拡大。 店内利用では、フォーク、ナイフ、ヨーグルトスプーン、マドラースプーンなどをステンレス製に変更。 また、お持ち帰りでは優れた生分解性を有する「Green Planet(グリーンプラネット)」製カトラリーを使用。
貸し出しカップの提供
お持ち帰りで注文の際、繰り返し使用可能なカップでの提供も選択可能に。 それを後に店舗に返却してもらうことで割引をするサービス。
※それぞれ、試験導入・段階的に切り替え
2.全国清涼飲料連合会
清涼飲料水の業界団体「全国清涼飲料連合会」は、ペットボトルのリサイクル率アップに向けて、全国統一仕様の新機能リサイクルボックスの設置を進めると発表しました。(2022年秋に業界統一を目指す)
プラスチックの適切な国内循環を推進する上で問題となるのが、飲料リサイクルボックスなどから集められる事業系回収PETの品質。 リサイクルボックスに、プラスチックカップやたばこの吸い殻やといった異物が混入されるのを防止することが課題となってきました。
新機能リサイクルボックスは異物混入防止に一定の効果を期待され、2020年から実験・検証が行われてきています。 たとえば、広島県広島市で行われた実験では、観測期間内でリサイクルボックス内の異物率が42%から25%に低減したという結果が出ました。
参照:新機能リサイクルボックス実証実験結果報告 - ecoひろしま~環境情報サイト~ | 広島県
新型リサイクルボックスは、異物混入を防ぐ機能として、以下のような特徴を持ちます。
-
・下向きの投入口:飲み残しのカップを入れづらく
-
・投入口の縮小:ペットボトル以外のものを入れづらく
-
・上部と下部を結束バンドで固定:大型のゴミの投入を防ぐ
-
・色をオレンジに変更:脱ゴミ箱として認識してもらう(SDGs11「住み続けられる街」の色彩)
同団体は、こうした施策を中心に、2030年までにペットボトルの100%有効利用を目指していくとしています。
3.株式会社TBM
こちらは直近、2022年9月にリリースされたニュースです。
資源循環ビジネスを展開する株式会社TBMは、使用済みプラスチックや、LIMEX(ライメックス-炭酸カルシウムなどの無機物を50%含有する複合素材)などの再生材料を50%以上含む「CirculeX(サーキュレックス)」の普及のために、株式会社商工組合中央金庫との連携を開始すると発表しました。
株式会社TBMの開発技術と、株式会社商工組合中央金庫が持つ全国の中小企業とのネットワークを駆使し、今後日本国内でのCirculeXの普及を目指していくとのこと。
両社の取り組みが、全国企業の製品開発段階でのプラスチック削減に繋がることが期待されます。
参照:RRTIMES|TBM、再生素材「CirculeX」の普及に向けて商工中金と連携を開始
4.弊社では、プラスチック新法対応へのアドバイスが可能です!
今回は、プラスチック新法に対しての各社の具体的な取り組みについて解説しました。 このように、プラスチックに関わる企業・団体が、各々の立場から法令に対応すべく動いているのです。
環境のミカタでは、主にプラスチックの回収・再資源化の部分で、皆様の新プラ法への対応をサポートしております。
最新技術を駆使した再資源化法手法で、コストとリサイクル率の両面の向上を叶えます。 特に、プラスチック排出業者様で今後の対応を迷われている方は、ぜひ一度ご相談ください。