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コラム
2023.01.18

プラスチックリサイクルの問題点は何?リサイクルの現状を確認しよう

昨今、SDGsへの取り組みやマイクロプラスチックによる海洋汚染の問題が、世界でクローズアップされています。企業としても個人としても、プラスチックリサイクルに取り組もうと思っている方もいらっしゃるでしょう。

しかし日本のリサイクル率は、欧米各国と比較すると低い水準にあります。そこで今回は、日本のプラスチックリサイクルがなぜ進んでいないのか、問題点とリサイクルの現状を解説します

プラスチックのごみのリサイクルの問題点

プラスチックゴミのリサイクルは、排出したものすべてが回収され、リサイクルされているわけではありません。プラスチックゴミのリサイクルには、どのような問題点があるのでしょうか。

焼却時に二酸化炭素が排出される

日本のプラスチックリサイクル率で最も多いのは、焼却処理した際に発生する熱エネルギーを活用する「サーマルリサイクル」という方法です。焼却により二酸化炭素が排出されるため、地球温暖化の促進につながっています

また、かつては二酸化炭素のほか、有害物質のダイオキシンが発生する危険性もありましたが、大気汚染防止法と廃棄物処理法の改正により、この問題はほぼ解消されています。実際、2017年の排出量は1997年から約99%の削減(※1)に成功しています。

※1・出典:ダイオキシン類の害|一般社団法人プラスチック循環利用協会

輸出規制による日本の国内循環が必要

これまで日本は、廃プラスチックを中国ほかアジア諸国へ輸出してきました。これは中国にとって原料を購入するより、輸入するほうが安かったためです。しかし実際は、汚れや有害物質の付着で資源化できないものも多く、中国では環境問題が悪化しました。

こうした背景から、2018年中国ではプラスチックゴミ輸入が原則禁止になり、それに続いてほかの国々でも輸入規制を導入しています。プラスチックゴミの処理を輸出に頼っていた日本では、国内処理量が急増し対応に追われています

海洋汚染が問題になっている

ポイ捨てや不法投棄によって、川から海へ流れ出るプラスチックゴミが引き起こす海洋汚染の問題が注目されています。プラスチックは、自然に還元されず経年劣化により細かくなり、海洋生物の誤飲につながったり、漁船や船舶の航行に悪影響を与えたりします。

今後も、海に流れ出るプラスチックの量はまだまだ増えると予測されています。プラスチックゴミをすべて回収しリサイクルできるよう、対策を練っていくことが必要です。

日本のプラスチックリサイクルの状況

日本は欧米に比べて焼却処理率が高いことも影響していますが、製品や化学原料を作るリサイクルが進まない理由は他にもあります。日本のプラスチックリサイクルは、現在どのような状況にあるのか解説していきます。

プラスチックをリサイクルするには、いくつか方法があります。どのようなリサイクル方法があるのか気になる方は、こちらの記事も読んでみてください。

プラスチックをリサイクルすると何になる?具体的なリサイクル方法を解説 >>

サーマルリサイクルの割合が多い

以下のグラフは、日本国内のプラスチックリサイクル率の内訳と推移です。2020年の時点で日本のプラスチックリサイクル率は、総排出量の約86%がリサイクルされており、高い水準と考えられます。

出典:■廃プラスチックの総排出量・有効利用量・有効利用率の推移|:(一社)プラスチック循環利用協会

内訳を見ると、前述したプラスチック焼却時に排出される熱を再利用する「サーマルリサイクル」が最も多く、約62%を占めています。ただし、サーマルリサイクルは欧米の基準ではリサイクルに含まれていません。2018年のヨーロッパのリサイクル率を見てみると、スペインが約40%、ノルウェーが約45%といった割合になっています(※2)。

サーマルリサイクルを除くと、日本のプラスチックリサイクル率は約24%です。サーマルリサイクルに頼るのではなく、マテリアルリサイクルとケミカルリサイクルの割合を増やしていく必要があります

※2・出典:「Plastics – the Facts 2020」p.32|PlasticsEurope

日本でサーマルリサイクルが採用されている理由

日本でサーマルリサイクルが積極的に行われているのは、先に挙げた二酸化炭素の排出や輸出規制といった課題を解決するためです。日本では、廃棄物をエネルギーに換える技術開発が活発に行われており、技術面・開発面ともに他の国より進んでいると言われています。

また、政府もサーマルリサイクルは、あくまでもリデュースやリユースができなかった場合の廃棄物活用法という位置付けをしています。これは「循環型社会形成推進基本法」に記載されており、廃棄物・リサイクル対策の優先順位を以下のようにしています。

  • 【上にあるものが優先度が高い、下にあるものが低い】

  • ①発生抑制(リデュース)

  • ②再使用(リユース)

  • ③再生利用(マテリアルリサイクル)

  • ④熱回収(サーマルリサイクル)

  • ⑤廃棄物としての適正処理

  • 参照:3R政策|METI/経済産業省

一概にサーマルリサイクルが多いことが悪い、というわけではなく、他の対策と並行して取り組んでいくことが大切といえるでしょう。

プラスチックリサイクルが進まない理由

欧米に比べて日本でプラスチックリサイクルが進まないのは、焼却処理率が高いことも影響していますが、ほかにも理由があるからです。マテリアルリサイクルとケミカルリサイクルが進まない、その理由を2つご紹介します。

生産にコストがかかる

1つ目の理由は、リサイクル原料を使うと製品生産のコストがかかるからです。廃プラスチックから製品を作る場合、元の原料に戻してから加工する必要があるため、資源を使って新しい製品を作るよりコストがかかります

また、フード容器として使われた場合、内側についた油汚れや使い残しを洗浄しなければなりません。このように、原料から作るより工数が増えることもコストが上がる要因です。

品質の担保が難しい

2つ目の理由は、リサイクル原料を使用すると品質の担保が難しいからです。

プラスチックには様々な種類がありますが、同じものを作り出すには同じプラスチックを集めなければなりません。単一の原料でできているものばかりではなく、複合樹脂でできているものもあり、分別が複雑になります。

しかし、リサイクルの過程では不純物が混ざりやすく、不純物を除去したり分別したりするには人手が必要です。生産面と同様に人手や工数が増えてしまうと、その分コストもかかってしまいます。

行政や企業でのプラスチックリサイクルの取り組み

日本のリサイクルの問題点について紹介してきましたが、それに対して対策をしていないわけではありません。プラスチックゴミを回収したり、減らしたりするための様々な取り組みが行われています。

ここでは行政や企業などの取り組みを3つご紹介します。

生分解性プラスチックの開発

生分解性プラスチックとは、自然に還るプラスチックのことです。土壌に含まれる微生物の働きを利用して水と二酸化炭素に還元されるため、環境負担を減らせる素材として注目されています

近年ではプラスチックゴミの海洋流出が問題視されるようになり、土壌よりも海での分解に適した海洋生分解性プラスチックの研究も進められています。強度や品質はプラスチックと変わらない点がメリットですが、開発コストの高いことがデメリットとして挙げられるため、今後の改善が期待されます。

海洋ごみ回収・処理システムの構築

海洋ゴミの回収や処理を行うシステムが各地で考案されています。

例えば香川県では、漁業者と全市町、県の協力のもと「海底堆積ごみ回収・処理システム」により、海底ゴミの回収に取り組んでいます。このシステムは、漁業者の底引き網漁などにかかった海底ゴミを陸まで持ち帰り、行政が運搬・処理費を負担する取り組みです

ほかにも港湾や湖に設置しておくことで、マイクロプラスチックや浮遊ゴミを回収する装置「SEABIN」があります。日本各地の港湾に設置され、海洋ゴミの回収に役立っています。

マイクロプラスチックの自動計測手法の開発

海洋研究開発機構(JAMSTEC)では、マイクロプラスチックを準自動で分析する手法を開発しています。ハイパースペクトルカメラを導入し、短時間で半自動的に検出することが可能です。

今後は、高速かつ自動的な計測システムの開発を進め、水中マイクロプラスチックを回収するとともに、より効率的に検出・分類できることを目標としています。

プラスチックリサイクルの問題点まとめ

プラスチックリサイクルが抱える問題点と日本のリサイクルの現状、問題解決のために行政や企業が行っている取り組みをご紹介しました。購入時にプラスチックを選ばないことも大切ですが、処分するときにはリサイクルを意識してみてください。

環境のミカタでもプラスチックリサイクルに真摯に取り組んでいます。プラスチックゴミの回収や運搬だけではなく、プラスチックゴミの燃料化も行っています。

環境のミカタでは、リサイクルが可能なものの分別や中間処分をすることで、事業者のゴミ処分コストを抑えるなどのご提案も可能です。プラスチックゴミのリサイクルについてお困りごとがあれば、お気軽にご相談ください。

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