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コラム
2023.01.16

パリ協定とは?日本と海外各国の目標・取り組み状況を解説

地球環境の保護

近年、地球温暖化の影響により、異常気象や海面上昇といった問題が叫ばれています。「パリ協定」は、先進国や発展途上国を区別することなく、世界全体がひとつの目標に向かって温暖化対策に取り組むための枠組みです。

今回は、パリ協定の概要、日本と海外各国の目標達成状況や取り組み、今後の日本の課題について解説します。

1.パリ協定とは?

地球環境に対するリスク

パリ協定は、2015年12月に採択された温暖化対策のための新しい枠組みです。1997年に定められた「京都議定書」の後継として、2020年以降の気候変動問題に対して、温室効果ガス排出削減の国際的な目標を定めています。

京都議定書では先進国のみが対象でしたが、パリ協定は、発展途上国を含む、すべての温室効果ガスの主要排出国を対象としているのが特徴です。2015年9月の国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)もすべての国や企業、個人が対象となっており、環境問題について全世界的な取り組みが求められていることがわかります。

パリ協定の長期目標

パリ協定では、世界共通の長期目標が定められています。

 

●世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする

●そのため、できるかぎり早く世界の温室効果ガス排出量をピークアウトし、21世紀後半には、温室効果ガス排出量と(森林などによる)吸収量のバランスをとる

 

引用:今さら聞けない「パリ協定」 ~何が決まったのか?私たちは何をすべきか?~ |経済産業省

パリ協定の締結国は長期目標をもとに、地球温暖化対策を推進し、同時に経済成長を目指します。

日本は、2030年までに温室効果ガスを26%削減(2013年度比)することを目標に掲げています。

パリ協定のルールの概要

パリ協定では、次のようなルールが定められています。

  • ●2023年以降、5年ごとに世界全体の目標に対する進捗を確認する

  • ●すべての国が長期的な温室効果ガス排出削減について戦略を策定・報告を行う

  • ●温暖化の影響を特に強く受ける発展途上国を資金・技術の側面からサポートする

パリ協定は、歴史上はじめて、気候変動枠組条約に加盟しているすべての国が削減目標を設定し、行動することをルール化したものです。世界共通の目標として、「世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求すること」 が掲げられ、各国が戦略を策定し、国連に報告しています。

また、異常気象や海面上昇といった深刻な被害を受ける国へのサポートも、ルールとして制定されています。温暖化の影響を特に強く受けるのは途上国であり、パリ協定では「緑の気候基金」と呼ばれる資金支援の仕組みによって、有志の先進国が適応策を講じるための資金を提供しているのです。

2.日本と海外各国の目標達成状況と取り組み

目標 達成状況
日本 2030年度までに26%のGHG削減(2013年度比)
英国 2030年度までに57%のGHG削減(1990年比)
米国 2025年までに26~28%のGHG削減(2005年比)
フランス 2030年までに40%のGHG削減(1990年比)
ドイツ 2030年までに55%のGHG削減(1990年比)

〇目標ラインと同水準 △目標ラインから上ぶれ

出典:「パリ協定」のもとで進む、世界の温室効果ガス削減の取り組み① 各国の進捗は、今どうなっているの?|経済産業省

温室効果ガスの排出力削減の鍵となるのは、非化石電源比率(再生可能エネルギーの割合)の増加と、エネルギー消費の削減(省エネルギー)の2点です。

日本は、目標ラインに向けて順調に排出量の削減が進んでいます。再生可能エネルギーの割合は、東日本大震災後の原子力発電所の停止を受けて、2012年度に12%まで低下したものの、2017年度には19%まで回復。また、エネルギー消費は過去も現在も減少傾向にあります。

英国も日本と同様、順調に排出量の削減が進んでいる国のひとつです。非化石電源比率は2010年比で約2倍(47%)に増加し、再生可能エネルギーへの転換が進んでいます。

米国は、再生可能エネルギーの比率は伸びているものの、エネルギー消費は、過去も現在も横ばいです。

フランスはすでに電力供給の9割が再生可能エネルギーになっているため、温室効果ガスの排出量を削減する余地が少ないといえます。鍵となるのはエネルギー消費ですが、現在横ばいの状況です。

ドイツは、再生可能エネルギーの比率自体は2010年比で約2倍の30%に増加していますが、原子力発電比率の低下により、数値は横ばいです。

日本の取り組み状況

気候変動問題の大きな原因となっているのが、二酸化炭素の排出です。日本では、日常の暮らしとビジネスの両面から二酸化炭素排出力削減に取り組み、脱炭素化された社会を目指しています。具体的には、再生可能エネルギー資源の活用や電化の促進などがあげられます。

二酸化炭素の削減と同時に、二酸化炭素を「吸収」して排出力を削減する仕組みを作るため、森林の整備や保全も進められている状況です。

欧米諸国から学ぶ取り組み方法

SDGsにも「気候変動に具体的な対策を(目標13)」という目標がありますが、達成できている国はありません。しかし、そのなかでも北欧・欧州の国々は、達成度が高くなっています。

それぞれの国の取り組み方法を簡単に紹介します。

取り組み内容
デンマーク コペンハーゲンの南部に100%再生可能エネルギーを使用した村「UN17village」を建設
スウェーデン ベクショー市では、2030年までに化石燃料をゼロにすると宣言し、バイオマスエネルギーへの代替を推進
フランス 国を代表する産業であるアパレル業界ではサステナビリティが重視され、植物性の原材料を使用した素材のブランド立ち上げや、パリで古着市を行うなどの取り組みを実施
ドイツ 1998年に電力市場が自由化され、環境団体が出資する企業が再生可能エネルギーのみを提供
 

3.今後の日本の目標と課題

カーボンニュートラル

日本は、2050年までに温室効果ガスの排出量をゼロにする「カーボンニュートラル」の実現を掲げており、中期目標として2030年度に46%減(2013年度比)を目指しています。

カーボンニュートラル実現のために、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定し、14の重要分野ごとに目標や今後の取り組みを定めました。

日本はエネルギー自給率が低く、再生可能エネルギーへの移行に向けて大きな課題になっています。また、再生可能エネルギーと同様に期待されている原子力発電には、安全性の課題も残されています。

4.産業廃棄物とパリ協定

廃棄物分野においても、温室効果ガスの排出量のさらなる削減が求められています。低炭素化と循環型の社会を同時に実現するためには、化石燃料由来の廃棄物の発生を抑制し、再利用を推進しながらエネルギー回収率を高めていく必要があるでしょう。

環境のミカタでは、「価値がないと思われているものから価値を創造する企業」を理念に掲げ、地域と共生しながら、循環が継承される社会の実現を目指しています。

産業廃棄物処理についてお悩みや疑問があれば、ぜひお気軽にご連絡ください。

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