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コラム
2024.06.18

ゴミの最終地点とは?知っておきたい最終処分場の現状

再利用が難しい廃棄物の行き着く先である最終処分場。近年、この残余容量がひっ迫してきており、2037年頃には満杯になってしまうという予測が大きな問題となっています。このままの量やペースで廃棄物排出が続くと、やがて私たちが排出するゴミの埋立地がなくなってしまうということです。

そこで今回は、最終処分場の概要や残余年数に加え、私たちが向き合うべき“ゴミの問題”について解説します。

1. 最終処分場とはリサイクル困難なゴミの最終地点

最終処分場は、資源化が難しい廃棄物を安全な状態で埋め立てる施設のことです。産業廃棄物の場合は、処理する廃棄物の種類や状態に応じて、3種類の最終処分場が国内には設置されています。以下から、最終処分場の目的や、種類ごとの特徴を解説します。

1-1. 最終処分場とは?

排出された廃棄物のうち、リサイクルできない廃棄物を処理する施設が最終処分場です。 そのまま埋め立て処分が必要となる物に加え、焼却・破砕・溶融・脱水・選別といった中間処理を経ている物も含まれます。なお、最終処分場は「一般廃棄物の最終処分場」と「産業廃棄物の最終処分場」の2つに大別されます。

産業廃棄物の最終処分場は、有害物質の有無や環境への影響度合いによって、安定型・遮断型・管理型の3つの種類に分類されます

 

 

持ち込まれる産業廃棄物の状態や種類が異なるため、それぞれの最終処分場では異なる処理が行われており、それに応じた構造で建てられています。なお、一般廃棄物は管理型と同様の基準が適用されており、構造についても同じです。

ちなみに、廃棄物処理法では最終処分の方法として「埋立処分」「海洋投入処分」「再生」が定められています。しかし現在、日本では陸上での適正な埋立や再生が推奨され、海洋投入処分は厳しい制限があるためほとんど行われていません。ロンドン条約の影響を受けて施行された日本の「海洋汚染防止法」が、平成19年4月1日に改正されたことで海洋投入処分の基準が厳格化し、より「廃棄物処理法」との連携が強化されたことによる影響です。

1-2. 産業廃棄物の危険性ごとに分類される最終処分場の種類

【安定型最終処分場】

安定型最終処分場では、そのままの状態で埋立処分をしても、環境への影響に支障を来さないとされる「安定型産業廃棄物」の処理が行われます

品目は以下の5つです。

  • ・廃プラスチック類

  • ・ゴムくず

  • ・金属くず

  • ・ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず

  • ・がれき類

ただし、上記の品目であっても基準値以上の有害物質・有機物等が含まれる場合には、管理型最終処分場および遮断型最終処分場に振り分けられます。

安定型産業廃棄物には有害物質が含まれず、水質汚濁もないなど、環境汚染リスクがないことが前提です。そのため、汚水の漏れを防ぐ遮水工の設置義務もありません。ただし、安全性を維持するためには、搬入物のチェックや定期的な水質汚染検査などが義務づけられています。

【遮断型最終処分場】

遮断型最終処分場は、基準値を超えた有害物を含み、かつ安定型廃棄物より危険性が高い「遮断型産業廃棄物」を埋め立てる場所です。

以下のような産業廃棄物が処理されます。

  • ・有害な燃え殻

  • ・ばいじん

  • ・汚泥

  • ・鉱さい

  • ・重金属

  • ・有害な化学物質が基準を超えて含まれる廃棄物

3種類ある最終処分場のなかではもっとも厳重な構造となっており、自然への影響を最小限に防ぐため完全な隔離がなされます。具体的には、雨水等と廃棄物の接触を防止する目的で、処分場は水密性のコンクリートで覆われ、かつ内側と外側が遮断されています。

【管理型最終処分場】

安定型廃棄物には該当しないものの、遮断型最終処分場で処理する必要のない「管理型産業廃棄物」を処分するのが「管理型最終処分場」です。

対象となるのは以下のような産業廃棄物になります。

  • ・燃えがら

  • ・汚泥

  • ・紙くず

  • ・木くず

  • ・繊維くず

  • ・動植物性廃棄物

  • ・鉱さい

  • ・ばいじん

遮断型ほどではありませんが、管理型産業廃棄物には微量の有害物質が含まれており、自然への影響が懸念されます。そのため、産業廃棄物の流出を防ぐために処分場は貯蔵構造物になっています。さらに、地下水汚染を防止するための二重構造の遮水工設置や、汚水を集める集水設備設置といった環境配慮がなされているのも特徴です。

2. 残り17.3年!?最終処分場が抱える「残余問題」

 

安全性に配慮し、産業廃棄物を適切に処分する最終処分場。しかしこのままのペースで“埋め立て”を続けた場合、産業廃棄物を埋める物理的なスペースが少なくなります。

2020年の時点で、産業廃棄物の最終処分場の残余容量は1.57億㎥・残余年数は17.3年とされました。日本における産業廃棄物の排出量は年間で約4億トン(東京ドーム1,000個分以上)であり、そのうち883万トン※が最終処分されています。「埋め立てる場所を増やせばよい」という考え方もありますが、不法投棄や環境汚染のリスクから、最終処分場の増設は難しいのが実情です。

※2021年の実績値

そのため、問題解決には適切な分別処理とリサイクル技術の向上で、再生利用量を増加させることがカギとなります。2021年の実績値では、前年比で再生利用量が2.4%増加し、最終処分量は2.9%減少しました。排出量と比べると、再生利用量の割合は54.2%という結果で、リサイクル率が半数を超えています。一方、汚泥や廃アルカリ、廃酸といった産業廃棄物の再生利用率は30%を下回りました。

今後、残余問題を解決するためには、“ゴミを処理する側” が再生利用量の少ない廃棄物の処理技術を高めるとともに、“ゴミを出す側” にも産業廃棄物の排出量を減らしていく努力が求められます。

出典:環境省「産業廃棄物の排出及び処理状況等(令和3年度実績)について」

3. 私たちが自分ごと化して向き合うべきこと

廃棄物排出および処理問題は、ゴミに関わる一人ひとりが自分の問題として向き合うことが大切です。ゴミを出す側と処理する側、それぞれの立場で心がけるべき点、取り組むべきことを解説します。

3-1. 排出事業者

まずは “ゴミを出す側” である排出事業者へは、3R(リデュース・リユース・リサイクル)への意識向上が求められます

具体的には、循環型社会の実現に向けて以下のような取り組みが挙げられます。

  • ・製品製造時、資源量が余らないよう計画・使用し、廃棄物を減らす

  • ・使用済みの製品・部品について、再利用が可能なものを積極的に使う

  • ・繰り返して使用することを前提に製品設計に取り組む

  • ・原材料はリサイクル性の高いものを選ぶ

  • ・廃棄物は再資源化できるよう正しく分別する

 

3-2. 廃棄物処理事業者

次に “ゴミを処理する側” である廃棄物処理事業者には、適切な廃棄物処理の確実な実施が求められます

具体的には、以下のような取り組みが挙げられます。

  • ・集められた産業廃棄物の種類・特性に応じて適切な分別・処理(中間処理)を行う

  • ・中間処理時点でエネルギー変換や肥料としての再利用を行う

  • ・焼却・脱水・破砕・圧縮等により最終処分場での埋立量を最小限にする

  • ・企業努力、パートナー企業との連携により、リサイクル技術を向上しリサイクル量を増やす

環境のミカタでは、上記の必要性をしっかりと認識した上で、破砕・圧縮・中和処理による最終処分量の減少、RPFおよびペレットへのリサイクル、廃棄物の肥料化リサイクルを推し進めています。さらに、今まで埋め立て処分をしていたリサイクル困難物を、フォーミング抑制剤やコークス代替品として再資源化する取り組みも始めています。

4. 一人ひとりがリサイクルへの意識を高めよう

最終処分場の残余問題は、企業だけでなく一般消費者である私たちにとっても身近な問題です。一人ひとりが廃棄物処理と向き合い、リサイクルへの意識を高めていくことが、解決の第一歩となるでしょう。 私たちは廃棄物処理事業者として、循環社会の実現に向けてよりいっそう取り組みを強化していきます。

環境のミカタは、産業廃棄物の収集や処理における効率化とサービスの品質向上に取り組んでいます。産業廃棄物の収集やリサイクルに関する疑問やお困りごとがありましたら、環境のミカタまでお気軽にご相談ください。

 

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