お店のオーナー様には、事業で排出したゴミを適切に処理する義務が課せられます。これから開業予定の方も経営計画を練る際には、定期的にかかる事業ゴミ費用の確保を検討しなければなりません。
しかし、事業ゴミの処理料金は各自治体で決められており、地域によって異なります。また、業種によっても排出されるゴミの量や種類は違うため、業者に委託したい場合にも、事業ゴミ回収料金相場はイメージしづらいものです。
そこで今回の記事では、事業ゴミの適切な廃棄・回収方法と料金の概要を解説します。各自治体の料金例や、業者へ委託した場合の回収料金も紹介していますので、参考にしてみてください。
目次
事業系ごみの廃棄と回収料金
事業ゴミは、事業主が責任を持って廃棄するよう法律で定められています。事業主が知っておくべき事業ゴミを廃棄する方法と、必要な回収料金について解説していきます。
事業ゴミの廃棄・回収方法
事業ゴミとは事業活動によって生じたゴミのことで、事業系一般廃棄物と産業廃棄物に分類されます。自治体で定められた事業ゴミの廃棄・回収ルールを守らず、適切な方法で処分しなかった場合、事業者は法律で罰せられることがあります。
処分方法には、以下3つの方法があります。1・2の対応が基本となりますが、一部の自治体では行政による回収も行なっています。
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1.直接処理施設へ自己搬入する
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2.許可業者に収集・運搬を委託する
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3.行政に回収してもらう(※1)
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※1:自治体によって対応が異なります
回収料金
事業系一般廃棄物の焼却処分にかかる料金は、各自治体が定めているため自治体のホームページなどで確認する必要があります。
市町村では、1kg当たりまたは10kg当たりで料金設定をしていることが多く、処理料金と収集運搬料金とを合計したものが、単価の上限となります。特別な理由がない限り、この料金設定を超えての契約は違法になるため、依頼したい業者が適切な料金かを見極めるポイントになるでしょう。
また、回収費用を抑える方法として、自治体の処理施設に自己搬入することが挙げられますが、発生するゴミの量が多い事業所では対応が難しいと言えます。どうやったらゴミの量を減らせるのか、回収業者に相談してみるのもよいでしょう。
自治体別|事業系一般廃棄物の処理費用
5つの自治体を例に挙げ、事業系一般廃棄物の処理にかかる費用をご紹介します。自治体によって料金が決められているため、同じ県内でも地域によって異なることがあります。
静岡県藤枝市の場合
環境のミカタ対応エリアである静岡県藤枝市では、行政によるゴミの収集は行なっていません。そのため、許可を受けた業者に回収を委託するか、指定の清掃工場へ自己搬入することになります。
清掃工場に自己搬入する際は処理手数料が必要です。手数料は持ち込み量に応じて変わり、50kg以下は無料、50kgを超える場合、全体の重量に対して10kg当たり146円(税込)と設定されています。
破砕が必要な燃やすごみのうち、サイズが大きいものを搬入する場合は、午後3時までと時間が決まっているため、持ち運ぶ前にホームページを確認するようにしましょう。
東京都世田谷区の場合
東京世田谷区では、行政による事業系一般廃棄物の有料回収を利用できる場合があります。行政が回収してくれるのは、1回の収集で30kg未満、45リットルの袋でおおむね3袋以内で、家庭ゴミの集積所に出すことが可能です。
以下は事業系有料ごみ処理券の価格表です。行政の回収を利用するには、ゴミ袋の容量に見合った世田谷区の「事業系有料ごみ処理券」を購入する必要があります。価格は改定される場合もあるため、自治体のホームページを確認しておきましょう。
【行政に回収を依頼する場合】
処理券の種類・サイズ | 枚数 | 価格(※2) |
---|---|---|
10リットル | 1セット(10枚) | 760円 |
20リットル | 1セット(10枚) | 1,520円 |
45リットル | 1セット(10枚) | 3,420円 |
70リットル | 1セット(5枚) | 2,660円 |
参照元:事業系有料ごみ処理券について ※2:価格は平成29年10月1日以降のもの
ごみ処理券は、世田谷区内の「有料ごみ処理券取扱所」の標識のあるお店、スーパー、コンビニエンスストアで購入できます。
愛知県名古屋市の場合
愛知県名古屋市では、行政によるゴミの収集は行なっていないため、許可を受けた業者に回収を委託するか、市の清掃工場へ自己搬入することになります。
市から許可を受けた業者に委託する場合、手数料は消費税等を含めた上限金額で1kgまでごとに50円(※3)と、条例で定められています。ただし、ゴミの収集や運搬、処分以外の業務を委託する場合、別途料金が必要になります。
市の清掃工場へ自己搬入する場合、ゴミが発生した区の環境事業所にて事前に手続きが必要です。清掃工場へ搬入可能な品目と料金は以下の表をご覧ください。
【清掃工場に自己搬入する場合】
品目 | 価格 |
---|---|
事業系一般廃棄物(可燃ごみ) | 1kgあたり20円 |
不燃ごみ・粗大ごみ | 1kgあたり20円 |
※3:市の処理施設に搬入する場合、市の処分手数料20円を含む
大阪府堺市の場合
大阪府堺市でも、行政に有料で回収を依頼できるものがあります。行政に回収を依頼する場合、環境業務課にて「継続(毎日)処理」または「臨時的(一時多量)ごみ収集」への申し込みが必要です。
継続処理は、一般廃棄物のうち焼却処理ができるゴミに限り、毎日(※4)収集してもらえます。処理手数料は以下を参考にしてください。
※4:日曜日、および年末年始を除きます
【行政に回収を依頼する場合|36リットル容器1日1袋あたりの料金】
業態 | 料金 |
---|---|
事業系(事業所・会社・工場等) | 5,400円 |
家庭系(アパート・寮等) | 3,100円 |
参照元:継続的なごみ処理(有料)
臨時的ごみ収集は、片付けや植木の葉刈りなどで臨時的に出るゴミを対象に収集を行っています。処理手数料は以下を参考にしてください。
【行政に回収を依頼する場合|事業所から排出される臨時的なごみ】
破砕機を使用する廃棄物 | 24,400円 |
---|---|
その他の廃棄物 | 17,600円 |
また、清掃工場へ自己搬入する際には、自動車運転免許証や事業所の所在地が確認できる書類などの用意が必要です。搬入処理手数料は、現金清算のみになります。
【清掃工場に自己搬入する場合|搬入処理手数料】
区分 | 単位 | 手数料/th> |
---|---|---|
破砕施設を使用する廃棄物 | 100キログラムまでの場合 | 1,700円 |
- | 100キログラムを超える場合 | 10キログラムごとに170円 |
その他の廃棄物 | 100キログラムまでの場合 | 1,100円 |
- | 100キログラムを超える場合 | 10キログラムごとに110円 |
神奈川県横浜市の場合
神奈川県横浜市では、業者への委託や焼却工場への搬入が選択肢になります。また、小規模の住居併置事業に限り、行政の回収を利用できることがあります。要件を満たし届け出を行えば、事業から出たゴミでも処理手数料が不要で市に収集してもらえます。
届出書は区の資源循環局の収集事務所と一般廃棄物対策課で配布されており、提出先は資源循環局の収集事務所です。
市の焼却工場へ自己搬入する場合、一般廃棄物が生じた区の資源循環局収集事務所へ事前申請が必要です。処理費用は、動物の死体およびし尿以外の一般廃棄物は1kgにつき26円となっています。
事業系一般廃棄物の回収を委託業者に依頼した場合の費用
環境のミカタで請け負っている、事業ゴミ定期回収料金の事例をご紹介します。営業時間やエリア、回収頻度によって費用は変わるため、あくまで目安として参考にしてみてください。
事例①コンビニの場合
ゴミの種類 | 可燃・不燃 |
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回収頻度 | 週5回 |
費用 | ¥30,000~(月極) |
コンビニから出るゴミには、レシートや書類などの燃えるゴミのほか、ゴム製品、金属、ガラス、陶器類などの燃えないゴミも発生します。期間限定商品のPOPや横断幕などの装飾品の処分も必要です。
食品廃棄物の処分は食品リサイクル法に基づき、再資源化やロス削減を図ったり、店内製造の際に出る廃油をリサイクルしたりして、ゴミ削減に努めているところもあります。
事例②介護施設の場合
ゴミの種類 | 可燃・不燃 |
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回収頻度 | 週7回 |
費用 | ¥120,000~(月極) |
介護施設は、施設を清潔に保たなければならないため、回収頻度が増える傾向にあるのが特徴です。可燃ゴミや不燃ゴミ、生ゴミ、段ボールなどの回収があります。
特に紙おむつは素材にプラスチックを使用しているため、産業廃棄物に分類している自治体もあります。その場合、一般廃棄物よりも回収費用がかさみ、経営を圧迫する可能性があります。
しかし、利用者が施設に居住性があると認められる場合、紙おむつを家庭ゴミとして出せる場合もあるので、廃棄方法については確認が必要です。
事例③薬局・ドラックストアの場合
ゴミの種類 | 可燃のみ |
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回収頻度 | 週1回 |
費用 | ¥6,000~(単価回収) |
飲食店やコンビニ、介護施設などに比べるとゴミの発生量は多くない、または発生してすぐに捨てるべきものが多くない傾向にあるため、回収頻度はさほど多くはありません。
調剤薬局の場合、患者の氏名や処方された薬名、年齢などの個人情報が記載された処方箋を処分することがあります。処方箋を処分する際、シュレッダーで細断してから廃棄するなど、取り扱いに注意する必要があります。
事例④美容院の場合
ゴミの種類 | 可燃・不燃 |
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回収頻度 | 週3回 |
費用 | ¥10,000~(単価回収) |
美容院のゴミで多く出る毛髪は、事業系一般廃棄物として処理できます。
ヘアカラー剤に使われるチューブは純度の高いアルミでできており、近年リサイクル可能になりました。リサイクルとして仕入れ業者が引き取ってくれるケースもあるので、仕入れ先に一度確認してみるとよいでしょう。
スチーマーやリクライニングチェアなどの大型器具(家具)を処分したい場合は、産業廃棄物として処理する必要があります。
事業ゴミの回収料金まとめ
事業ゴミの回収料金の事例をご紹介しましたが、自治体の規程によっても、業種によっても費用が大きく変わります。費用を削減するためには、リサイクルに回してゴミの発生量を減らしたり、生ゴミの水気を切って重量を減らしたりすることがポイントになります。
ゴミの量を減らしたいといったご相談も環境のミカタでは対応可能です。事業ゴミに関して気になる点があれば、お気軽にご相談ください。